ブロックチェーン

Web3.0時代のボーダレスな社会で問われる”税”の姿

Borderless Tax

こんにちは。田上です。

先日、税金に凄く詳しい方とディスカッションさせていただく機会がありました。
その方は、「ブロックチェーンに限らず、インターネットの世界は本当にボーダレスになりつつあります。そんな社会における”税”ってどうあるべきなんでしょうね。」と仰ってました。

ここ数ヶ月で最もドーパミンが分泌された瞬間でした。エストロゲンにも近い物質が分泌されていたかもしれません。
それだけ、私にとっては目から鱗が落ちたような体験でした。

普段から、ボーダレスな社会をテクノロジーや文化で分析することはありますが、世界を”税”という観点から分析したことはありません。
ブロックチェーン業界の最前線を走る方々とご一緒させていただいていると、「まだこんなに知らないことがあったのか…」といつも一瞬絶望の淵に追いやられています。(だからこそブロックチェーン業界はおもしろいです)
今回の税観点もまさにその類いでした。

今回は、「Web3.0時代のボーダーレスな社会で問われる”税”の姿」と題して、自分なりに思考を深めたアウトプットを綴りたいなと思います。

余談ですが、ボーダレスな社会を”文化”の観点で分析する際に、凄く参考になった本があるので紹介しておきます。
この本だけでも長文書けそうなので、どこかでトライしてみようと思います。

税制が無くなると社会はどうなるのか

未来の税の姿を考察する前に、まずは税が無くなると社会はどうなるのかについて触れておきます。
税が無くなった社会、けっこうおもしろいです。

まず、日本に存在する税金の種類は以下の通りです。
多すぎるので、財務省HPよりスクショを転載します。(※いずれスクショの転載も違法に…)


参考までに、平成30年度予算における税収の内訳は以下の通りです。

ゴルフ場利用税や狩猟税なんてものもあるんですね。

中でも最もメジャーなのが消費税でしょう。
2019年2月時点の日本国における消費税は、皆さんご存知8%です。
これは2014年4月に執行されたもので、なんともうすぐ5年が経過しようとしています。

その後、2015年10月に10%にまで引き上げられる予定でしたが、経済や国民の生活への影響を加味して延期され、ついに2019年10月に引き上げられることがほぼ確定となっています。

この消費税の増税には、ほとんどの国民が反対していると思われます。
それでは、仮に引き上げどころか消費税を含む全ての税金を撤廃した場合、我々の生活はどうなるのでしょうか。

手取り給料が上がる

まず、手取りの給料が上がります。
だいたい1.5~2割ほど上がります。
これは、年金や社会保険料が控除されなくなるためです。

商品の値段が安くなる

消費税が無くなるため、当然商品の値段も安くなります。
たばこやお酒に関しては、タバコ税・酒税も無くなるため、価格低下を如実に感じることになるでしょう。

医療の受診に大金が必要になる

当然、良いことだけではありません。
税金の無い世界で、風邪や怪我をしてしまうと、一瞬で家計が破産します。

現在の日本では、救急車を呼ぶのはいつでも誰でも無料でできますよね。
しかし、税金が撤廃されると、救急車を呼ぶのに45,000円かかることになります。(東京消防庁:2002年調べより)

また、健康保険の制度が存在しなくなるので、数分の診断だけでも数万かかるようになります。
従って、医療はお金持ちだけのものになります。

警察は営利企業になる

警察官が営利企業に属することになります。
犯罪が起きていようが、事故が起きていようが、土日であれば関係ないし、営業時間外であれば対応してくれません。

義務教育が無くなる

正確には、小中学校が営利企業になります。
そのため、ある程度の家計が無い家庭は、子供を学校に通わせることができなくなります。

道路が整備されなくなる

日本の道路は、世界各国と比較しても非常に高い水準で整備されています。
しかし税金が無くなると、誰も公共の物を整備しなくなるため、荒れ放題となります。

年金、失業保険、生活保護は全て無くなる

弱肉強食の社会の到来です。
定年退職後は誰も助けてくれませんし、勤め先が倒産したとしても誰も助けてくれません。

普段から税制に対して不満を持っている人は、税制が撤廃された社会における暮らしと今の暮らしと、どちらを選択するでしょうか?
人間、無い物ねだりとはまさにこのことですね。

税制は何を対象にしているのか

税制の必要性がわかったところで本題に入っていきます。

まず、そもそも”税”は何を対象にかけられているものなのでしょうか。
少し歴史を振り返ってみようと思います。

日本における税制の仕組みの誕生は、飛鳥時代に遡ります。
701年に施行された大宝律令によって、租庸調という税の仕組みが成立しました。

当時は金銭ではなく、「収穫した農作物の3%」や「年間10日間の労働」を税として納めていました。

奈良・平安・鎌倉時代になってもこの風潮は変わらず、室町時代にようやく関税(通行税)が設けられるようになります。(室町時代以前も、一部年貢の納税などはありました)

豊臣秀吉の生きた安土桃山時代には、太閤検地によって農地の収穫高などを調べ、農民に対して年貢を納めさせていました。
当時の税率は二公一民といい、収穫高の2/3を年貢として納めさせています。
また、江戸時代には米などを納税することも多かったといわれています。

明治時代になってようやく、貨幣による納税が整備され始めます。
明治政府は、歳入の安定化を目指し、1873年に地租改正を実施しました。
地租改正では土地の地価の3%を地租として貨幣で納めさせています。
さらに、所得税や法人税も、この頃より初めて導入されることになりました。

大正時代から昭和初期にかけて、戦費調達のための増税が相次ぎました。
現在の税制の基礎は、この頃に出来始めたものになっています。
1940年に源泉徴収制度が採用され、1946年の日本国憲法公布に伴い、国民の三大義務として「教育・勤労・納税」が整備されました。
翌1947年には、申告納税制度が導入され、1950年にはシャウプ勧告に基づき税制改革も行われています。

平成時代に入ると、1989年の消費税3%の導入や所得税の減税などを含む大幅な税制改革が次々と行われるようになります。
消費税は1997年に5%となり、2014年には8%となりました。

こうして税の歴史を振り返ってみると、それは意外と浅いということに気付くかと思います。

ここで着目すべきは、農業から工業へと経済の中心が変化してきた歴史において、それぞれ何を対象に税がかけられていたのか、ということです。

すると見えてくるのが、「税金は国民を対象にかけられるもの」という固定観念の誤りです。

農業が中心であった飛鳥や奈良時代では、税の対象が国民であったとはいえないのではないでしょうか。
豊臣秀吉や織田信長の生きた戦国時代は、和の国(日本)は複数の戦国武将が支配していました。
この時代にも税制は存在していたことを考えると、改めて税の対象が国民であったとはいえないと思います。

それでは、税の対象は一体何なのでしょうか。

これは一言、「コミュニティ」です。

community

ボーダレスな社会では、何に税金をかけるのか

税に限らず、日本に限らず、歴史を振り返ると、いつの時代もバラバラだったものを統一しようと競い合っていた様子が見受けられます。

1945年に第二次世界大戦が終わり、各国の覇権争いが終焉して以降、物理的に世界を統一しようとする動きが沈静化しつつあります。
要するに、中央集権化されてきたものが、非中央集権化への一途を辿り始めているのです。

ここで注意すべきは、非中央集権化とは一つにまとまっていたものが複数に散らばることではない、ということです。
これは個人的な考えですが、「非中央集権」とは権力やフォースが分離するのではなく、全てが一つに交わることだと思っています。

この状態がまさに「ボーダレス」です。

前置きが非常に長くなりましたが、このボーダレスな状態において、何を対象に税をかけるのか、どうあるべきなのか、という考え方にとても興味を持った、というのが今回の論点です。

オチが無いようで面白くないかと思いますが、この答えに正解は無いと思います。
なぜなら、未だかつて全社会が一つに統一されたことが無いからです。

ここからは個人的な見解ですが、今後、様々なコミュニティに対して税の仕組みが導入されることになると思います。
ただし、ここでいう税とは、これまでのような税とは少し異なるイメージを持っています。

例えるなら、OSS(オープンソースソフトウェア)を維持するためのコストです。
今後、ブロックチェーンをはじめとする多くのものがpublicな状態になるでしょう。
となると、publicなものを維持していくには、現在の税に類する何かが必要になります。

従って、例えばOSSコミュニティ単位で独自の税制が作成されたり、特定のプロトコル単位で税制が作成されたり、といった社会が到来すると考えています。

そうなった場合に、現在の国家しかり税制がどうあるべきなのか。
インターネットおよびブロックチェーンによって真にボーダレスな世界が実現した場合に、現在の国家しかり税制は、何を対象に何を根拠に税を徴収するのか。

答えはありませんが、非常にワクワクするトピックだなと感じています。

参考文献:国税庁「税の歴史」

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